レンタル業・貸出業における在庫管理 一般的な在庫管理との違い

一般的な在庫管理は、販売を目的とした商品の数量を把握し、過剰在庫や欠品を防ぐことを主な目的としています。
しかし、レンタル業や貸出業においては、単に商品の数量を管理することが目的ではなく、貸出期間や個々の商品の状態を把握することが重要になります。
 
レンタル管理は商品が増えるほど管理が複雑になります。
商品があるなしだけでなく、貸出状況やメンテナンス状況が分からなくなります。
顧客からの問い合わせ時に本来貸し出せたものも貸し出すことができません。
反対に、本来貸し出せないものを予約してしまい、クレームに繋がることもあります。
この記事では、一般的な在庫管理との違いを明確にし、レンタル業・貸出業特有の在庫管理に必要な機能について解説します。

一般的な在庫管理と異なる点

レンタル業・貸出業における在庫管理は、一般的な在庫管理と比較して、以下の点で大きな違いがあります。

貸出期間を管理する

最も大きな違いは、商品の貸出期間を管理する必要がある点です。
  • 予約管理
    • いつ、どの商品が予約されているかを把握し、ダブルブッキングを防ぐ必要があります。
  • 貸出・返却処理
    • 顧客への貸出日と返却予定日、実際の返却日を記録し、遅延などを管理する必要があります。

1つの商品ごとに管理する必要がある

一般的な在庫管理では、同じ商品はまとめて管理することが多いですが、レンタル業・貸出業では、1つ1つの商品を個別に管理する必要があります。
  • 個体識別
    • 各商品に固有のID(シリアル番号、バーコードなど)を付与し、追跡できるようにする必要があります。
  • 状態管理
    • 貸出前後の商品の状態を記録・管理し、破損や汚損の責任の所在を明確にする必要があります。
  • メンテナンス管理
    • 返却されてすぐに貸出できるものではありません。
      特に高額なレンタルでは、商品のメンテナンス状態を管理して適切なタイミングで貸出する必要があります。

同じ商品でも価値が変わる

商品は繰り返し利用されるため、価値の減少は利用回数や経過年数、メンテナンス状況に大きく左右されます。
適切なメンテナンスを行うことで、長期間にわたって価値を維持・活用することができます。
また、人気のある商品は、中古市場でも一定の価値を持つ場合があります。
 
 

レンタル管理に必要な機能

上記の違いを踏まえ、レンタル業・貸出業における在庫管理システムには、以下のような機能が求められます。

1. 予約管理機能

  • 空き状況照会: 商品ごとの貸出状況をリアルタイムに確認できる機能。
  • 予約登録: 顧客からの予約を受け付け、処理を行う機能。
  • 予約一覧表示: 予約状況を一覧で確認できる機能。

2. 貸出・返却管理機能

  • 貸出処理: 商品と顧客情報を紐付け、貸出日、返却予定日を記録する機能。
  • 返却処理: 返却された商品を記録し、返却日、商品の状態などを記録する機能。
  • 延滞管理: 返却遅延商品を把握し、顧客への通知や延滞料金の計算を行う機能。

3. 個体管理機能

  • 商品台帳: 各商品の基本情報(型番、価格、写真など)を登録・管理する機能。固有のIDを付与します。
  • 状態管理: 貸出・返却時の商品の状態を記録し、履歴を管理する機能(画像登録など)。
  • メンテナンス管理: メンテナンス状況を管理する機能。

4. 在庫管理機能

  • 在庫状況一覧: 現在の商品の在庫状況(貸出中、メンテナンス中など)を把握できる機能。

5. その他連携機能(必要に応じて)

  • 顧客管理システム連携: 顧客情報の一元管理。
  • 会計システム連携: 請求書発行、売上管理の効率化。
  • ECサイト連携: オンライン予約・貸出サービスの提供。
 

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この記事の筆者
佐藤 徳洋
日本物流学会会員、在庫管理アプリMonoCの運営を行う。
東証プライム企業のシステムエンジニアとして働いている中で、古いシステムでは令和の業務を支えられないと感じ、新しい業務のやり方を模索中。